バンゲリングベイ
(ファミリーコンピュータ:ハドソンソフト/1985)
出会い
1985年、ファミコン人気が高まりつつあった頃、当時小学生であった私もその例に漏れずファミっ子であった。新しいゲームを誰かが買ったと聞けば、その友達の家に押しかけては遊んでいた。
(だから顰蹙を買っていたのは紛れもない事実)
そんなある日、友達が買ってきたのが「バンゲリングベイ」だった。変わった名前とやけに不気味なパッケージが印象的だった。
早速プレイさせてもらう。(友達は2P担当:つまり敵…その時は気づかなかった)やけに単調なBGMと真っ直ぐ飛んでくれないヘリコプター。ミサイルは容赦なく飛んでくる。
攻撃目標の上にたどり着くこともできない。
そうしているうちに
ALERT の表示とともに警報が鳴り響く。 友達によると空母が攻撃を受けているのだという。
操作のまともにできない私が爆撃機を撃墜することなど出来ようはずもなく、空母は撃沈された。
そしてまもなく自分も同じ運命を辿ることとなった。 真っ赤に染まる海。音を立てて落ちていくヘリ…。GAME OVER。
訳のわからないまま、こうして初プレイは終わった。
しかしこのゲームに、私は「恐怖」に近い緊張を感じた。そして、「バンゲリングベイ」は忘れられないゲームとなった。
ゲームについて
操作方法
Aボタン | バルカン発射、(空母、敵飛行場で)離着陸 |
Bボタン | 自機の真下に爆弾投下(空母、敵飛行場で)離着陸 |
十字キー上 | 自機前方に加速 |
十字キー右 | 右旋回 |
十字キー左 | 左旋回 |
十字キー下 | 減速、バック |
ゲームの流れ
プレイヤーは、ヘリコプター(AH‐18シーアパッチ:自機)を操作してバンゲリング帝国内にある6つの兵器製造工場を破壊するのが目的です。
自機は、バルカンと爆弾を武器として戦います。工場は、爆弾を一定数投下することで破壊できます。
敵の攻撃を受けるとダメージを受け、操作性が低下します。ダメージは空母または敵飛行場に着陸することで回復します。
(ただし敵飛行場では全快しません)ダメージが100を超えると自機は墜落します。(この時、特攻が出来る)
自機は最初5機与えられています。
敵は、自機のみではなく空母も攻撃目標とします。爆撃機(攻撃機)と戦艦があり、爆撃機は時折飛行場を発進して空母を攻撃します。 (この時、画面には「ALERT」の表示がされる)一定時間内に爆撃機を全滅させないと空母は撃沈されます。
戦艦は一定時間が経つとドックで建造が開始され、(「WARNING」の表示)
さらに一定時間後出港します。(もう一度「WARNING」の表示)戦艦と空母が同じ画面内に入ると空母は自動的に沈没します。
空母が沈むと残機は0となり、二度と復活しません。だから空母は死守しましょう。
工場をすべて撃破すると「COMPLETE」となり、次の面に進みます。
バンゲリングベイはクソゲーにあらず
数あるファミコンゲームの中で、昔話(特にクソゲー)をすればこの「バンゲリングベイ」の名が必ずといっていいほど挙がるのではないでしょうか。(他には、「カラテカ」「スぺランカー」「たけしの挑戦状」など)しかし、私の結論からいえば、
「断じてクソゲーにはあらず」
そもそも、このゲームが「クソゲー」と呼ばれたのはなぜでしょうか。
その理由はおそらくすべて
マニアックな操作性
にあります。つまり、裏を返せば、これさえ慣れればずいぶん奥の深い戦略的なシューティングゲームとして遊べるはずです。
その斬新なシステム
「バンゲリングベイ」が当時のシューティングゲームとして斬新であったシステムはいくつもあります。
- ダメージ制
- 本拠地(空母)防衛の必要性
- 爆弾搭載量が有限である
- 兵器の数が時間とともに増加(工場の耐久力も増加)
- ダメージに比例して機動力が低下
- 特攻
- ハドソン(冗談)
1から5の要素が絡み合って、このゲームがリアルで戦略性の奥深いものになっています。(ヘリのバルカンで実際に戦闘機が撃墜できるかどうかは知らないけど)
例えば、「工場を1つ破壊した後、残った爆弾を次の工場に投下しに行くか、それとも、一旦空母に戻るか」あるいは「少しダメージを受けたが、工場周辺の兵器を駆逐した。大事を取って空母に戻るか、それとも危険だが工場に爆弾投下するか」というように、いろいろなシチュエーションでの瞬時の判断が問われるわけです。
6の要素は個人的に非常に好きです。
ほとんど操作不能の自機を何とか工場や戦艦に突撃させて相打ちを狙う…。「ジOン公国に栄光あれーっ!!」ってな感じでしょうか。「ただでは死なんぞ!」というのがいいです。
さらに個人的に付け加えれば、音と色彩がとても効果的にゲームを盛り上げていると思います。
BGMは単調極まりないですが、だからこそ、その中に鳴り響く戦闘機のエンジン音、誘導ミサイルの推進音、警報、爆発音などが緊迫感を持って迫ってきます。(個人的にはBGMは無くてもいいと思うくらいです)
2万点ごとにバンゲリング帝国の時間が昼→夕方→夜→明け方と変化し、地上の色が変化するのも、戦いの長さを感じさせてくれます。
そして赤い海!自機のダメージが80を超えると海が真紅に染まります。「死」のイメージが迫ってきます。
早すぎたゲーム
バンゲリングベイは今プレイしてみても、決してクソゲーではないと思います。(操作は「バイオハザード」と基本的には同じなのでそれほど今は戸惑わない)
ただ、当時ファミコンでゲームをしていた子供たちのプレイしていたシューティングゲームとは、「ゼビウス」や「スターフォース」などであり、受け入れられるにはシステムが複雑すぎだったという事実は否定できません。
そういう意味で、「早すぎたゲーム」だったと評価したいと思います。
総合評価
難易度 | ★★★★☆ |
操作性 | ★★☆☆☆ |
とっつきやすさ | ★★☆☆☆ |
持続度 | ★★☆☆☆ |
戦略性 | ★★★★☆ |
個人的おすすめSTG度 | ★★★★★+ |